不動産担保の活用方法ってありますか・・・根抵当権②

不動産担保には、抵当権と根抵当権の違いがあることは、以前にも述べました。

ざっくりと言えば、抵当権は、融資のたびに毎回抵当権設定契約書を作成して登記手続きをし、該当する融資の残高に合わせて抵当権も減少していきます。融資の借り直しをしようとすれば、既存の抵当権を一度抹消登記して、再度新たな抵当権を設定登記しなければいけません。

このため、事業性融資の場合は、反復取引を前提としていることから、抵当権は根抵当権に比べて、コストと手間が掛かることになります。

 

一方、根抵当権は、設定極度額を決めて、根抵当権設定契約書をもって登記手続きをすれば、その極度の範囲内であれば、借りたり返したりが比較的スムーズに行えます。

手間は最初の一度だけで、大きな変化が無い限りは、登記手続きを改めて行う必要性がなく、コストも低く抑えられます。

 

今回は、その根抵当権において、予め注意しておくほうが良い点を記します。

知らないで根抵当権の設定を歪んだ形にすることで、資金調達の幅を狭めてしまっているケースが散見されます。

銀行員時代にも何度も目にした形のことですが、その修正や調整を後から行うのはとても労力が必要です。

2~3年で転勤となってしまう銀行員ですから、面倒なことには首を突っ込まない人も多く、企業が苦しんだり困っていても、見て見ぬ振りということもあります。

 

それは、「根抵当権の設定順序の違い」というケースです。

 

言葉だけで説明するのは分かり難いかも知れませんが、じっくりと考えてみてください。

事例で記します。

 

(事例)

 不動産として、土地1筆(いっぴつ、ひとふで、と読みます)と建物1筆があります。

 この土地建物を不動産担保にA銀行に差し出しています。

 根抵当権を設定しています。

 既存の建物は古くなり、建て替えをするべく、新たに融資を受けることにしています。

 融資を受けるのは、A銀行ではなく、B銀行からです。

 B銀行の融資審査は通り、融資が行われることは決まり、契約書も交わしています。

 

 建物の建て替えのため、既存の建物は取り壊しをします。

 A銀行で設定していた根抵当権の建物については、建物の滅失登記とともに根抵当権一部解除をします。

 新しい建物が完成した際には、B銀行がその資金を融資していますので、建物に対する根抵当権を優先的に設定することとしています。また、B銀行に対する根抵当権は土地も共同担保としています。

 

 この状況では担保設定は次のようになります。 (第1位、第2位は根抵当権の設定の順序です。)

 

        A銀行    B銀行

  土地   第1位    第2位

  建物   無設定    第1位

 

 新しい建物が完成して、しばらくしてから、A銀行から建物を既存の根抵当権に追加設定するよう要望されます。

 そして、出来上がった根抵当権の設定の状況が次のようになります。

        A銀行    B銀行

  土地   第1位    第2位

  建物   第2位    第1位

 

 このような担保設定が数多くあります。

 これは、「たすき掛け」とも呼ばれる担保設定の状況で、土地はA銀行が優先するが、建物はB銀行が優先するという格好です。

 この「たすき掛け」が生じると、本来、不動産担保が持つ資金調達力を狭めてしまいます。

 銀行であれば、不動産の価値である時価の半分程度の資金調達枠を確保できれば良いところを、さらに少なくしてしまいます。

 

 これでは、その後の銀行取引が順調に進むかどうかが不安になります。

 ましてや、資金調達が後々上手くいくでしょうか。

 

 A銀行とB銀行と債務者である会社との三者間の調整を上手くやらなかったことが招いた単純なミスです。

 単純なミスではありますが、企業にしてみれば、先々の資金調達に問題を抱える案件ですので、やはり、問題は解消しなければなりません。

 

 A銀行、B銀行ともに融資をしているわけですから、根抵当権の設定に関しては、それぞれの言い分や考え、つまり、利害があるわけです。

 もちろん、一番利害が関係するするのは、他ならぬ借りている企業です。

 

 なぜ、根抵当権の設定が優先しているかどうかを銀行が気にするか。

 それは、不動産を競売や任意売却で処分するときのこともありますが、融資がいま幾らの不動産担保でカバーされているかということもあります。(一番はやはり最終処分のときが問題なのですが。。。)

 

 銀行の言い分もありますし、企業の言い分もあります。

 ですから、やはり企業としては、先々のことも考えて、不動産担保を有効に活用できる体制を自ら用意したり、修正したりしなければならないのです。

 

 上のような「たすき掛け」になっている場合は、直すための努力を避けるべきではありません。

 交渉は難航することもありますが、粘り強く行えば、必ず何とか結果が出ます。

 その際、一部の根抵当権を変更する必要も出てくるかと思われます。

 「土地がA銀行=第1位となっているのをA銀行=第2位と順位変更する」

 もしくは、

 「建物がB銀行=第1位となっているのをB銀行=第2位と順位変更する」

 という「順位変更」がまずは交渉の材料になります。

 

 もちろん、順位変更を承諾する際には、別の担保を用意できるか、融資の一部を返済できるか、などの条件提示も出てくる可能性があります。

 そして、この問題に関しては、時間を掛けてやるのも悪くはありません。

 急ぐ必要が無いのであれば、都度都度、銀行各行と相談しながら、じっくりとやるというのも有りな話です。

 ただ、追加融資をする際、不動産担保として新たに根抵当権を設定するときなどが出てくれば、やはり避けて通れないことではあります。

 また、A銀行、B銀行のどちらとの取引が多いのか否かということ、メインバンクとしてどちらが頼りになるのかなども含めて、根抵当権の設定をどう変更していくかというのも必要でしょう。

 

 

 根抵当権の変更では、「一部譲渡」、「分割譲渡」、「全部譲渡」、「極度額増額」、「極度額減額」、「債務者の変更」など数多くの変更手続きがあって、ガラッと変更することが可能です。

 

 私も数多くの根抵当権の変更登記を銀行員としても経営コンサルタントとしても携わってきました。

 (自分自身に関わる案件でも、かなり面倒な変更手続きを行いました。2つの銀行がかなり面倒くさがりましたが。。。)

 

 うまく変更登記を活用すれば、資金調達の幅、余力は増える可能性があります。

 何事も誰かに相談してみれば、思わぬ知恵や策が出てきます。

 

 

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