case22・・・事業承継のネック②

case21事業承継のネック①に続いての内容です。

 

株式譲渡制限規定の設置に関する問題について、少し触れておきたいと思います。

会社法107条、110条で触れています、公開会社が株式譲渡制限規定を設ける場合、会社法116条により、反対株主の株式買取請求が生じる可能性があります。

(ちなみに、私は中小企業診断士であって、弁護士ではありません。法的解釈が違っていることもあります。あくまでも私の経験と勉強による判断を示していることを、ご理解ください。)

 

そもそも株式譲渡制限がある会社は、「非公開会社」です。

一般の株式会社では定款で定めない限り、株式譲渡に取締役会の承認は不要である、いわゆる「公開会社」です。 (株式市場に上場している意味の「公開」ではありません。)

旧商法の有限会社は会社法に移行する際、会社法でいうところの「非公開会社」となり、株式譲渡制限が付与されています。 (会社法移行の際の職権でそうなっています。登記簿にも記載がありますね。)

 

一般の公開会社であった株式会社が、定款を変更して、株式譲渡制限を付与するということは、「公開会社」から「非公開会社」に変更するということです。

平たく言えば、旧商法でいう、株式会社が有限会社に変更するようなものです。

これは、株式の譲渡を制限するということで、譲渡する際には、会社の取締役会の承認を必要とするため、会社とは関係のない第三者への株式譲渡に対して歯止めが掛けられたり、一定の株主への譲渡を促すようなコントロールが可能になります。

事業承継を計画していて、株主が多くなっている場合などは、いったん、譲渡制限を設け、株式のさらなる散逸を防ぐことと、特定株主への株式譲渡を促し、株式の集中を図ることが可能となります。

 

ここで気を付けておかなければならないのが、冒頭でふれた、会社法116条の反対株主の株式買取請求が生じる可能性があるということです。

 

そもそも、株式譲渡制限規定の設置というのは、会社にとって、株主にとって、最重要である定款の変更事案であって、株主総会の決議が必要になる事案です。

 

また、株主にとっては、取引相場が無い未上場株式といえども、売買が自由に可能な状況から、一転して、実質的に売買不可能な株式に変化することになり、株主不利に働く事案です。

株主としては、定款変更に反対する場合、株主総会で反対しても、株主総会で可決されてしまうことで、株主自身の投下資本が塩漬けになってしまいかねません。

 

そこで、反対株主の権利として、会社に対して、反対表明をしている株主の持ち株を買い取ってもらうという、株主保護策が設けられています。これが会社法116条です。

とは言っても、反対して、買取請求して、価格協議がすんなり決まるかどうかは分かりかねます。

協議が整わない場合は、裁判所に申立して、何ヶ月も掛かって、価格が決まるという、長丁場になります。もちろん、この際には、弁護士に依頼する必要もあり、弁護士費用をはじめ、税理士、公認会計士などにも依頼することもあり、余計な費用が会社に発生してしまいます。

また、一旦、買取請求の価格が決まれば、裁判所が価格決定の日から30日以内に、代金を支払うよう言い渡します。ということは、その資金を準備しておく必要もでます。

 

つまり、会社としては、キャッシュアウトとして、反対株主に対する株式譲渡代金、裁判にかかる費用などが発生します。

運転資金から支払うか、別途資金を用立てしなければならず、場合によっては、金利負担さえ発生することにもなります。

 

また、株式譲渡制限を付与したわけですから、新たに資金調達をする際にも、新株を発行しても、割り当て増資もしくは特定株主に対する第三者割り当て増資しか、株式による資金調達(直接金融)はできなくなります。

もしくは、金融機関、銀行などから融資(間接金融)を受けることになります。

 

しかし、反対株主と株式の譲渡に関して、裁判所で協議(非訟事件)している状況は、銀行などの金融機関は前向きには評価しにくい状況でもあります。

この資金申込に対して、融資をするかどうかについても、かなりナーバスな判断になります。

いずれにしても、潤沢な資金を持っている場合、もしくは、調達可能な場合を除いては、株式譲渡制限規定を設けるということは、あまり得策ではありません。

 

このように株式譲渡制限が、資金調達手段が大きく関わる事案であるということについては、事業承継のプロを称する弁護士、司法書士、行政書士、税理士などは、意外にも軽んじ過ぎています

 

法的には、株主総会開催通知して、株主総会を開催して、議案を議決して、議事録書いて、登記すればいいだけです。 めちゃくちゃカンタンですね。 (書類作成して、郵送して、総会開き、書類を書いて、登記所に持っていくだけ。これだけです。後は手数料や印紙代だけです。カネさえかければ、できる話ですからね、カンタンですね。)

法的にはバッチリできていても、会社の資金調達手段を閉ざす手段であり、実は、会社経営の首根っこを締めてしまう、大きなポイントでもあります。

 

この株式譲渡制限規定を設けることを考えるかどうかは、素人判断ではとても危険です。

そして、弁護士、司法書士、税理士などに聞いても、的確な回答は期待できません

資金の出し手である大株主もしくは銀行などの金融機関と、事前の打ち合わせを実施し、資金調達に影響のない状況を確保してから、導入するかしないかの判断をしていただきたいと思います。

 

とても、難しい話で、繰り返しのような表現が多くなりました。

言いたいのは、「株式譲渡制限規定」は会社法で制定されていますが、「反対株主の買取請求」も制定され、裁判沙汰になりかねません。 資金調達手段も閉ざされるため、また、会社のステータスも下がります。 あまり良いことは期待できない規定設置は、会社の明暗を大きく左右するということです。

非常にナーバスな部分でもあるので、多分、辣腕弁護士でもベストな回答が難しい案件です。

つまり、私からすれば、株式譲渡制限規定を株式会社に新設するのは、余程の資金的余裕が無い限りは、やるべきではない、と言いたいですね。

 

これを事業承継に入れてくる弁護士、司法書士、行政書士には、要注意です。

会社法の落とし穴が分かっていないとも思えますし、金融面はさっぱり分かっていないということですからね。 注意しましょうね。

 

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